現代でもシンプルに生きよう!

日本という国はシンプルに生きるにはなかなか難しい社会だと思います。暗黙の了解が多く、島国で多様な民族がおらず古くからしきたりを守ってきた歴史からみても、他人と変わったことをすると目立ち叩かれるように感じます。

書評として今回ご紹介するのは、ドミニック・ローホー著「シンプルに生きる」です。外国人作家の場合はお国柄もあって参考にならない事例もありますが、概ね日本人でも共通する内容で書かれています。また平易な文章で、ある意味ありきたりではあるものの、シンプルにまとめられてスンナリと読めます。

2010年の出版なので、その後にたくさんのミニマリストさんが出している本と何ら変わらないかも知れません。同じ事が書いてると思われますが、日本にも最低限は理解のあるフランス人としての目は説得力を感じます。こういった本は、やはり女性の執筆が多く、その点ではよくある内容になっています。

質素・清潔・秩序を重んじる

戦争だけは賛成できませんが、古来から日本という国は質素で清潔な生活を推奨し、そして秩序を重んじて団結する民族であり、それは現在もその延長上に居ると思っています。ただ、江戸時代後期から他国の影響(西洋の文化)を受けてだいぶ変わってきました。

傍若無人な態度を取る人も目に見えて増え、日本という国にしては極端に合理的な社会、それ以上に理不尽な社会に変節したと思います。大袈裟でしょうか?

もちろん、中世の生活が良いとは思いません。現代人は現代に生きているので過去は比べようもないからです。ただ、受け継いできた精神というか、哲学のような日本人に合った道理、原則のようなものは失いつつありますね。

著者のように海外から日本を訪れると物の見方が変わるような話や事例を目にします。それほど日本人は他国に誇れる文化があるということになります。ミニマリストもまた日本の禅を参考にすることも多いでしょう。かのジョブズもインドや日本に精神的なことで影響を受けたのは有名です。

シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしいときがある。——スティーブ・ジョブズ

ジョブズの言葉の一部を引用すれば、シンプルは確かに難しいと感じます。どれを残してシンプルにするかという点です。何でもかんでもとはいきません。

私はそこに哲学的に何か一本の筋があり、それに即してシンプルにすべきと考えています。結果としてシンプルは質素であり不便極まりないことではなく、また清潔というくらいに整然としていて、そこに筋である決まった法則の秩序がある。この本からもそういった主旨が読み取れます。

このことは頭では理解できます。大方の人はそうでしょう。私もです。ただ、これを実践するとなると出来ている人は僅かです。(私もできていません)

どれが先かということもなく、秩序を構築し、それに沿って行動する。もちろん自分の中でだけです。もっと言うと不完全でもそれを実行する。あれこれ難癖付けるのを辞めるというのは、年を重ねて出来ることと、年を重ねると出来ないことの中でせめぎ合いますね。

良い意味での自分勝手

全ての事柄に対してシンプルにあるべきであると認識しても、なかなか出来ず逆にそれに拘ったところでそれは問題になりまた悩みます。

スタート地点がモノとの付き合い方になっていると思います。

モノ、住まい、ファッション、時間、お金、美容、健康、食事、そして他人とのつきあい(人間関係)をジャンル毎に綴っている本書ですが、断捨離のように先ずは身辺整理から始めて考え方を身軽にすることが出来れば、自ずと他のジャンルにも影響してスンナリと実現できるのかな?と強く思いました。

自分勝手という言葉は悪く使われます。しかし、皆自分の人生を生きているのだから、他人のために人生を犠牲にする必要はありません。古来では犠牲が美徳とされていても、そこには主従関係や社会性からも保証があった。今はありません。家という単位から個の単位へ変わったために、犠牲を払ったところで得る物は限りなく少ない。

かと言って無責任な勝手はマズイです。思うように生きるのは構わないけれど、そこにはやはり秩序という筋があって、そこを守った上での勝手ならば、誰しも楽に生きられると思います。

もっと言うと道徳観。正に道徳という筋があるからこそ、犠牲も払えるし勝手もできる。サムライ文化まで戻りたくはないですが、精神的にはそこを持った民族でありたいです。

大袈裟なことを書きましたが「自分勝手=自分のスタイル」だと思っていますから、自分のスタイルを崩さずに、モノを減らしてシンプルにし、考え方や行動をより一層有意義なものにする方が、心にも余裕が生まれて他人とのいざこざも減ると思います。もちろん自己実現も近くでしょう。

私たちは元々何も持っていなかった。裸で産まれ、あの世まで持って行けません。あくまでも生きている時間で手に入れたモノであり、多くを所持しなければならないこともありません。ま、レンタルですよ。生きている時の分だけ借りられる。

そう思うと気楽に実践できますよ。

シンプルになりたい

この本は182ページしかなく、行間も空いていて、1つの事柄は2ページがせいぜいの分量の新書サイズです。サラッと読めて心に留めておきたい言葉や考え方がいつでも確認できます。

ミニマリストの本も含め、こういった類いの本は、最も当たり前の基本中の基本の考え方に基づいています。

毎日少しずつ掃除する、であったり、上手にひと休みする、空腹感を感じたら食べる、人を批判しない、などなど。当たり前ですよね?! 私もこの当たり前と思える事が出来ていないのです。今までの豊かで正しいと思っていた生活は、こういった当たり前だったことすら忘れさせてしまったのではないでしょうか。

しがらみなどあって難しいことです。確かにシンプルは複雑で難しい。私もシンプルな境地に立って物事を見たら世界が変わるではないかと期待している一人です。人生いろいろの中、心を疲れさせずに生きたいと思っています。

この「シンプルに生きる」という本は、これまで様々な形態で販売されています。新書サイズのものが一番目にします。しかし、中には内容がダイジェストになっていたり、余計な章があったり、短かったりしています。
どうやら、2011/6/9発売の単行本が元のようです。